2013/09/15

【書評】「レイヤー化する世界 [Kindle版]」(佐々木俊尚)を読んだ感想

佐々木俊尚さんの「レイヤー化する世界」をKindle版で読みました。これからの世の中は、おそらく、このように変わっていくのだろうと思いました。


この本の中で語られているのは、現在の「国民国家」と「民主主義」で成り立っている世の中の仕組み自体が変わっていく、ということ。「国民国家」と「民主主義」に取って代わっていくものが、Apple、Google、Facebookなどの超国籍企業が作り出す<場>というものになります。<場>という言葉は、佐々木俊尚さんが考え出したものですが、その内容をよく表している言葉だと思います。



<場>による仕組みの変革

<場>による仕組みの変革が始まったのは、音楽業界からです。Appleが、iTunes、iPodを使って、配信、売買できる仕組みを作りました。iTunes、iPodが、<場>になります。それまでの音楽業界では、音楽制作会社に意向に沿った音楽が採算を計算の上で制作され、CD販売店で販売がされていました。その仕組みは、iTunes、iPodという<場>に取って替わられました。音楽を作りたい人が作った音楽を、その<場>を使って、自由に配信、売買することができます。

音楽業界に起きたことが、出版業界でも起こり、今後、すべての業界で起きて行くことになります。本書の中では、行政サービスも、その<場>に置き換わっていく業界の事例として説明されています。例えば、道路や橋、公共施設の保守管理は、行政サービスとして管理されています。保守のためには、何かしらの人が、定期的に道路や橋、公共施設の状況を見てまわる必要があります。

そういった保守が必要な箇所については、保守管理のスマホアプリを作成・配布して、各市民が、自分の見つけた保守が必要な箇所を、そのアプリを通して、位置情報・写真を行政に報告をします。その保守が必要な箇所の情報は、そのアプリによって共有され、保守作業のフローへ繋がって行きます。

保守管理のスマホアプリ自体も行政が用意する必要はなく、行政の業務フローを運営する<場>(何かしらの会社が提供するオープンな場所)さえ提供されていれば、そこで便利なアプリが生まれてきます。行政はそのアプリ群の中から、有用なものを選びさえすれば良いのです。

世界の富は均一化されていく

<場>による仕組みは、世界の富の不均衡を均一なものにしていきます。先進国は、今よりは貧しくなります。発展途上国は、今より豊かになっていきます。例えば、サイト制作を発注する場面で考えてみます。今では、全世界のクリエイター、プログラマーに仕事を発注することが可能です。先進国のクリエイターと、発展途上国のクリエイターでは、同じスキルの方であれば、発展途上国の方の方が制作費用は安いと考えられます。そうであれば、発展途上国のクリエイターに仕事が流れるのは自然な流れです。こういった内容が、分かりやすく説明されています。

この話を読んで、「エントロピー増大の法則」を思い出しました。

エントロピーとは何か?
http://homepage3.nifty.com/rikei-index01/kagakuneturiki/entorotoha.html

人間社会の仕組みも、物理学と通じるようなところがあると感じ、とても興味深かったです。

佐々木俊尚さんについては、かなり以前ですが、講演を拝聴したことがあります。その時から、的確な現状分析、今後の予測、その話術に惹きつけられました。

<場>による仕組みで運営されていく世の中に、どのように向き合っていけば良いのかも説明されています。その内容は、是非ご自分で「レイヤー化する世界」をご覧いただくことを奨めます。

私が同感できた他の方の「レイヤー化する世界」に対する書評

書籍の中で、参考資料として挙げられていた情報の一つ

エリック・ブリニョルフソン「成長のための鍵は何?機械との競争」

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